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2020/03/29 11:39 |
大学時代
「なんか、先生怒ってたよ」
友人は、会うや否やそう言った。ある放課後の出来事。
 
 
わたしは委員会の仕事があったのだが、何の躊躇もなく休んだのだ。その行為に、とりわけ思想をこめた覚えはなかった。学校に反発したかったとか、自分の真面目な気性に嫌気がさしたとか、そんな思いは全くなかったつもりである。友人のことばを聞いて、わたしはすぐ職員室に向かった。3年間も担任をして貰った先生に、嫌われたい訳がない。
職員室には早々と着き、わたしはドアを開ける前に、心の準備をした。担任の怒る顔は、頭の中にすでにイメージできていた。だが、数センチ開けた隙間から覗いた職員室に、担任はいなかった。
今振り返れば、その後わたしはまっすぐ家に帰るはずであった。普段のわたしというのは、ここで満足できるというか、翌日まで機会を見送ることができる。明日でも大丈夫だとか、欠席なんてたいした事でないとか、完全ではないにしろ冷めたところが私にはある。
しかし次の瞬間、わたしは走り始めていた。全く、わけが分からなかった。気づけば、階段を2段飛ばしで駆け降りて、昇降口を出ていた。靴をはき替えたかどうかも分らぬままである。
明日ではなく今日、先生に会わなくてはならない。そんなことを一心に考える自分がいるのである。何かひとつを目指す自分は、一体いつぶりだろうか。わたしはまるで、体の中心から指の先まで、その思いでどろどろと占有されているような心地がしていた。
何処にいるなどとは聞いてもいない。
にもかかわらず、先生の居場所を、
どこかの駐車場や、デパートに見つけようとするわたし。
占有物はいつしかわたしに涙を流させていた。
信頼を失くすかもしれない自分の行いへの、後悔の類いか。めでたしめでたし。
 
 
ああ、また発作だ。癖のある一文で終わろうとするのは良くない。それとも、予定調和的にかねてから決めていたことなのだろうか。何にせよ、自分の恥ずべき性分である。あああ。いったんはつまらぬ論理を通した「涙」であっても、やはり不満が残って放置が出来なかったか。
なあお前、お前はまた自分の現状を悲観したいんだろう?わざわざ夢の話なんぞ引き合いに出さずとも、分かるのだよ。身勝手に欠席をする自分、御免なさい、と釘を刺すことで、自分の社会不適合を許されようとするなんて、とんだ誤り。ああ、自分は変わってしまったなあと物思いに酔いしれる暇があるなら、さっさと習い事なり何なり始めればいい。あの頃とは変わり果ててしまった自分を、悔恨する涙。決して担任の信頼を求めようとする涙などではない。
 
 
わたしはすでに、目を覚ましていた。ふと瞼に触ってみれば、少し濡れていた。ああ、また嘘を吐いた。なみだは夢の中の出来事。微笑ましい中学時代の夢であったが、心地の良い余韻など皆無。残るはただ、今の自分へのいきどおり。先生と会えたのかが気になって、二度寝をした。けれどもわたしの前に、同じ夢は現れなかった。いや、覚えていないだけかも知れない。ただそうだとしても、わたしは先生をずっと追いかけ続けているような心持ちがするのである。
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2008/10/25 01:23 | Comments(0) | TrackBack(0) | 未選択

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